アラームだ。
朝4時半起きの生活。今日は疲れが抜けていないのか、いつもより眠い。
気温計を見ると20度。今日は少し暖かいようだ。
20度で暖かいとか言ってる。うちなーんちゅの感覚じゃないよねと苦笑いだ。
眠気を飛ばしたくて、窓を開けた。
最近新月だったのもあり、月がない空には星がくっきりと見える。
オリオン座だ。
そういえば、沖縄の実家からはさそり座が見えたな。
南側の空が開けていたので、夏なんかは、それはキレイにさそり座のアンタレスが見えた。
最近行ったJAXAのこと、そこに集まる宇宙大好きな大人達の事が浮かんだ。
そして、あの子の事が。
なりたい仕事なんて、決まってなくていいんだよ。
その後に
いろんなモノを見て聞いて体験して、好きだー!って物と、まずは出会いたいね。
って、付け足してあげたらよかったかな。
将来なりたい仕事はなんですか?
学校の先生になりたての年。その時受け持っていた学年では「十三祝」というイベントが控えていた。
数え年で十三になる年に、成人の仲間入り(昔の元服みたいな意味だ)を祝う。正装をして記念写真を取ったり、親戚が集まってお祝いをしたり。
沖縄では七五三より、こちらがメジャーかもしれない。学校でもPTAが主催で、学年行事として十三祝をしたりする。
将来なりたい職業を書いて、写真と一緒に額縁に入れてプレゼントしよう。
保護者の方からアイデアが出たらしい。
そういう形の寄せ書きを作って欲しい、と担任へ依頼があった。
早速子ども達へ話をして、小さいメッセージカードになりたい職業と名前を、それぞれ書いてもらう。
野球選手がいいなー。え!お前、シェフになりたいばー?
子ども達はわいわい盛り上がっていた。
公務員になりたいです、と話す彼
その後、何のきっかけか忘れたが、とある男の子を家まで送るため、一緒に歩いて下校していた。
その子はカードに「公務員になりたいです」と書いていた。
不意にその話題になる。「公務員になりたいって書いてあったねー。市役所の人とか、警察とか、公務員も色々あるよね」多分そんな事を話したと思う。
可愛らしい雰囲気がまだ残る顔は、うつむいていた。感情が読み取れない。なんか変な事言ったかな。
無表情なまま、彼は言った。
「なりたいわけじゃないんです。公務員はいいよって、お母さんがそう言ってたから」
そうだったんだね。と返す。
彼はそこまで言わなかったけど、伝わった。
なりたい仕事がない自分って、ダメなんじゃないか。そう思ってるのが伝わってきた。
「なりたい仕事、今決まってなくてもいいと思うよ。」
ペーぺーだった私には、それしか浮かばなかった。
とりあえず言葉をつないだ後、少し私の話を聞いてもらった。
先生になりたいなんて、君くらいの頃には全然思ってなかったこと。
あれこれ寄り道して、ようやく、やってみたい!って思う仕事が見つかった。
勇気を出してそこに踏み出すのにも、時間がかかったこと。
だからいろんな事を見たり聞いたり、体験しながらゆっくり決めたらいいと思う。多分そんな事を言った。
無表情な彼の顔が、少しはゆるんだような。私がそう思いたかっただけかもしれない。
好きを仕事に、とは言うけれど
私もさんざ迷走したし、なんなら今も迷路に入ったりする。
好きを仕事に。
見方によっては苦しいフレーズだ。
卒業式でも彼は、「公務員になります」とスピーチしてたと思う。
それでいい。
言え、と言われたら、そう言っておけばいい。
JAXAに集まっていた宇宙好きの大人達は、たぶん「好き」な宇宙とは違う仕事をしているんじゃないか。
それでもあんなにキラキラしてて、楽しそうだった。あの空間だったから、そうなのかもしれないけど。
あの大人の背中が、一つの答えなんだと思う。
同じように、私の背中もひとつの答え。
彼は納得してくれるだろうか。
好きを追い続けて、仕事の形で成し遂げるのも良い。
好きを追い続けるために、仕事を探していくのもありだ。
彼が今、「生きがい」を見つけて、楽しく人生を生きていますように。
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