「前にも言われているのに、あなた達はわからないんですか!?」
すごい剣幕で怒鳴っている先生。
その向かいには女の子が3人、廊下に立たされている。
そう。自分から進んでそこに立つわけない。
廊下の曲がり角の、かなり目立つし邪魔になるところに、小学校中学年くらいの子達は立たされている。
彼女達の目の前には、年配の女の先生が仁王立ちになっている。
仁王立ちって言葉を作った人はすごいよね。顔が引き攣りまくって、ホントにこんな風になっちゃうんじゃない?って様子で、先生は怒り狂っていた。
私は用があったので、その横を通らないといけなかった。…というか、そこは廊下なので、用事をするために通る人で溢れていた。
先生はなんでここを選んで、怒ってるのかしら。見せつけるため?
性格の悪い私。そんな仮説を立ててみる。
しかし、わざわざ多くの人の目に留まるようなところで、年頃の女の子を叱るなんて。
思春期に入りかけた彼女たちのプライドを、パッキパキにへし折るような指導。
見ててあまり気分は良くないし、3人の顔も明らかに、反省してますモードではない。うわー、嫌な雰囲気だな。
どうやら、以前別な子がやってて全体指導をした「学校用タブレットでYouTubeは見ないこと」っていうルールを、彼女たちは破ったらしい。
朝の会の前に10分ほど設定されている、本を読んだり、読み聞かせを聞いたり、ミニドリルをするような時間。そこで個人のタブレットを使わせようと用意してる最中に、先生が気づいて、3人を廊下に引っ張り出してきたみたい。
元教員としては、仁王像のような顔の先生の気持ちも、分かる。
「一度指導したのに、聞いてなかったんですか!!」
怒鳴り声からは、怒りの覇王色が出てそうだ。
私のお願いを、この子達は聞いてくれなかった!裏切られた!みたいな、虚しさ・悲しさも透けて見える気がする。
そうして怒りをぶつけたくなる気持ちも分かるし、実際そうしてしまった事も、多々ある。
ただ、怒る先生の目の前に立たされている、女の子3人の顔を見てて思う。
届いてないな。
ここだけはハッキリ分かる。
3人とも能面みたいな顔をしてる。
心には届いてない。
私は部外者。なのに胸が痛んだ。
誰も幸せになってない、この無意味なやり取りを見て、悲しいなって思った。
先生が伝えたい事も、ホントは怒りや虚しさではないはず。
詳しく知らないけど、「こういう理由があって、校内タブレットでYouTubeを観ることは禁止されているんだよ」って事を、子どもたちに分かって欲しかったんじゃないのかな。
でも彼女達には響いてない。
先生すごい怒ってるな。
廊下でみんなに見られて嫌だな。
早く終わんないかな。
能面のような彼女たちの顔に、そんな言葉が付箋みたく、貼り付いて見えた。
こういう悲しいやり取りが、1日一個減るだけで、学校ってもっと楽しくなるのにな。
どうやったら相手に届くのかな。
どうやったら、伝えたい事が届く関係づくりができるかな。
先生たちはその辺りを、もう少しだけ気にしたり、意識したり、学んだりしてもいいんじゃないか。そう思う。
学校の先生なんて、勤務時間中ずーーーっと、人間関係づくりを磨かされる仕事だよ!
クラスに行けば、30名の「私とはチガウ人間」とコミュニケーションを取って
職員室に行けば、そこにいる教員や職員の数だけいる「私とはチガウ人間」とコミュニケーションを取って。
さらには、クラスにいた30名の「私とはチガウ人間」の後ろにいる親だって「私とはチガウ人間」だ。
こちらは難しいぞ。直接会うことがほとんどないし、コミュニケーションを取るとしたら、電話をかけるか、お手紙やメモを書いて渡すか。相手の表情や雰囲気が読めない中、関係づくりをしていかないといけない。
人と関わるのは楽しい事ばかりじゃないけど、みんなでいるからやれる事、笑える事、たくさんあるんだよ。
だから学校で「みんなと学ぶ」って楽しいよね。
ホントは先生、それを伝えたかったんじゃないのかなぁ。
それにしても、個人のタブレットがあって、校内には無線LANが飛んでいて、簡単にインターネットにアクセスできる状態で「YouTubeはダメ!」というのは。
私も守れる自信がないかも。
はっ!
そうだ!
朝の10分は、みんなでYouTubeを観る時間にしちゃえばいいんだ!!!
コソコソしないで、堂々とタブレットを触れるぞ。これはいいぞー!
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