小学校の先生として、10年ほど働いていた私。
お仕事上、言葉の選び方にはすごく気を遣っていました。
例えばしょっちゅうお友達を叩いたり蹴ったり、してしまう子がいたとして。
「あの子は乱暴だ!っていうか、何度も注意してるけど聞かないのよ。」
みたいな事も、正直、頭の中には浮かびます。
でもそのまま口には出しません。
頭の中で言い換えます。
「ちょっとカッとなりやすい子で、繰り返し伝えてあげた方がいいですね」って感じで。
いわゆるリフレーミングというやつですね。
学校の先生になって、リフレーミング、言葉の言い換えを毎日、自然と使うようになりました。
理由は、クラスにはいろんな子ども達がいるから。
あの子は言われても平気な言葉が、別な子には「からかわれた」「悪口言われた」なんて響いてしまう事も、よくあるから。
言葉って不思議なもので。
何気なく使ってるつもりでも、その人の背景が透けて見えたりするんですよね。
クラスでわりと可愛い部類の女の子が、給食の時に牛乳をうっかりこぼされてしまって「はごさぬー(きたない!という沖縄の方言。スラングっぽい感じです)」と口をついて出た時。
ああ、この子は家ではヤンチャなのかな。
なんてね、想像してみたり。
何気ない言葉のチョイスに、その人のバックボーンがうっすら、見えたりするんです。
先日息子2人を連れて、広い公園へ出かけた時のこと。
わが家の息子達は7歳と2歳で、歳が離れています。なので遊びたい遊具もバラバラになりがち。
その日もやっぱり行きたいところがバラけてしまいました。長男はトランポリンがいい、次男は話にもならない、何にも聞かずに走って行ってしまいました。
「じゃ、この辺りにいるからね」と慌てて長男に言い残し、マイペースな次男を追いかけます。
足の速い次男。すぐに見失ってしまいます。あちこち探したらなんと、ターザンロープのコーナーにいました。
ロープを掴むのもやっとのくせに、それで遊びたいのね。
2つ並んだターザンロープの片方を、どうにか捕まえた次男。そのまま引っ張って、スタート地点へ持って行こうとしてるみたい。
小さい子がいるな…と、隣の男の子が動けずにいます。
邪魔になってるな、早くどかさなきゃと近づこうとしたら。
横から女の人の声がしました。
「待って、あの子邪魔なんだけど」
一瞬背中が、ピクッとしました。
女の人は、ターザンロープをしたい男の子の、お母さんでした。
隣のお父さんがGoProを持って、男の子を撮影しようとしたのを、制止したようでした。
「すみませーん」と慌てて次男をとっ捕まえて、その場から離します。
次男は「やだー!」と怒って、暴れます。
つい慌てて「ほら、邪魔になってるよ!」とお母さんの言葉を、オウム返ししちゃいました。
実際、邪魔です。そうなんです。
だって2歳児はターザンロープに乗れないし、どう動くか分からないし。
遊ぼうとしてた男の子も、動かずに待ってくれてたものね。
私だったら危ないって言うなぁ。
「ちょっと待って、今ターザンロープしたら危ないよ」って、言う。
邪魔って言葉は、結構パンチのある言葉。
子どもには、しかも公園では、使わないかも。
極端な話。
我が子以外の子、邪魔と言えば邪魔じゃないですか。
ブランコ乗りたい我が子、でもブランコはよその子が使ってて、乗れない。
ウチの子がしたいこと、よその子のせいでやれない。
って目線で見たら、よその子みんな、邪魔っすよね。そうっすね。
些細なことです。気に留めない人もいます。
でも、その言葉を選んだお母さんの頭の中が、一瞬見えた気がして。
私の中では、この状況は「危ない」でした。
小さい子がターザンロープに立ち入ると危ない。
遊びたい子が遊べないし、小さい子はケガするかも知れない。
どんな言葉を選んで言うかで、その人が考えていることは、見えちゃうな。
「自分だけ、自分の息子だけ」なのかな、お母さん。
悲しいな。
私は考えすぎなんです。なんですが、休日の公園に来ると、たまに見かけるこの光景を、複雑な気持ちで見てしまうんです。
うちの子もよその子も、みんな地球の子なんだよー。
…そうやってボーッとしてたら、次男がいません。
ああもう!あたりを見回すと、知らないお兄ちゃん数人が、次男と遊んでくれていました。
「いい?10数えたら探しに来るんだよ」
かくれんぼをしているみたい。小学生くらいのお兄ちゃんが、次男にオニ役を命じたようです。
2歳なので、10まで数えられないし、かくれんぼのルールも分かってません。
でも次男は元気よく「うん!!」とだけ、返事しています。
子ども達の方が、枠も垣根もない。今初めて出会った人とでも、友達になって遊べちゃう。
みんな仲間。垣根なんてない。
子どもの方が広い視点を持ってます。先輩です。
大人、見習わないとね。
しばらく遠くから、お兄ちゃん達と次男の、全く成立してないかくれんぼを、見物させてもらいました。
【怒らない、ごきげん母ちゃんでいるための3つのコツ】の音声
メルマガ登録でプレゼントしています。
↑登録はこちらから↑
コメント