雑巾とバケツでクラスを沸かせた女の子の話

子育て

小学校の先生の楽しさ。

色々あるけど、自分では考えつかないモノに出会えるのが、たまらなく好き。

「こんなアイデアがあったか!」

「そういう発想になるのかー」

こんな楽しさ、ワクワクを感じられる仕事って、そうそうないと思う。

中でも忘れられないのが、雑巾とバケツでクラスを沸かせた女の子のエピソード。

雑巾一枚からだって、無限にアイデアが広がるのだ。

十八番大会をやろう

そのクラスで初めてお楽しみ会を開くことになった。

今回は十八番大会をしよう、と子どもたちに提案した。

自分が得意なこと、すごいでしょ!ということ、どんなモノでもいいよ。みんなの前で発表して欲しい。

そんな感じの説明をしたと思う。

子ども達のことをもっと知りたいというのもあったし、

「笑ったり茶化したりしない。発表の後は見せてくれてありがとうの拍手をするよ」と前もって伝えていた。

つまりは、みんなは自分のことを認めてくれるんだな、っていう安心な雰囲気を、クラスに作っていきたいというねらいもあった。

雑巾とバケツで、何するの!?

お楽しみ会(十八番大会)当日。

くじを引いて、呼ばれた子は自分の出し物を披露する。

サッカー部のリフティング。

バレー部のサーブ(アタックをやろうとしたので室内だから…とさすがに止めた)。

なわとびやけんだま、みんないろんな特技を見せてくれた。

10秒で紙飛行機を折ります!みたいなのもあった。すごいアイデア。勢いよく折った不恰好な紙飛行機が、みんなに大好評だった。

で、冒頭に書いた雑巾とバケツの女の子。

ベランダから、雑巾をあるだけもってきて教室にばらまく。

そしてバケツを2つ、ポンと置く。

彼女はこう言った。

「これから手を使わずに、足だけで雑巾をバケツに全部入れます!」

予想外すぎて大興奮

クラスじゅうが「え!」となった。どういうこと?

彼女は上履きと靴下をぬいで裸足になり、足の指で雑巾をつかみ、ケンケンしながらバケツの中に放っていく。それを雑巾がなくなるまで繰り返す。

初めはみんな、呆気に取られていたのだけど、次第に笑い声や歓声が大きくなり

男の子が飛び出してきて「僕もやる!勝負する!」と言い出したほど、大盛り上がりになった。

思いもつかない出し物だった。

ただの雑巾とバケツがこんなに面白いなんて!

そんな驚きとか、感動とか、予想外すぎる展開に、私は興奮した。

多分子どもたちも、同じだったんじゃないかな。

彼女のアイデアがクラスを優しくした

その後しばらく、それが休み時間の遊びになった。

雑巾、バケツ、それに群がる裸足の子どもたち。廊下を通る人が度々、二度見していった。

私の頭では一生思いつかなかったような、衝撃のアイデアを見せてもらえてワクワクした。

子どもたちの中にも

「みんなのアイデアってすごいな」とか

「初めから面白くないとか決めつけたら違うんだな」みたいな雰囲気が生まれた。

個性が強くて、意見が違うとすぐケンカしちゃうような子が多い。

そんなクラスだったけど、

でも「まずはあいつの考え、聞いてみようや」みたいな優しさというか、ワンクッションが置けるように変わっていった。

彼女のおかげで、クラスが優しくなった。

彼女のスペシャルなアイデアと、雑巾とバケツに乾杯♪

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