線路に物を落としてしまったら、慌てず落ち着いて駅員さんを呼びましょう。駅員さんがマジックハンドを使って、落下物を拾ってくれます。
昨日実際にその体験をしたので、記憶がホカホカのうちに書いておこうと思う。
舞台はJR常磐線の勝田駅。ひたちなか市の勝田という場所にあるこの駅は、割と大きな駅。特急列車も止まるし、車両基地にもなっていて、電車大好きの息子たちにはたまらないみたい。
あ!特急ひたちだ!こっちには色違いがあるー!ここに来たら、30分くらいは電車を眺めて遊んでいる。
昨日は次男の私と2人でお出かけ。ママ友達とご飯を食べ、次男はちびっこ同士でワイワイ遊び、走り回り、振り切れたテンションのまま、駅のホームへやって来た。
調子に乗っている次男は、私の声かけをガン無視する。「ほら、手を繋ごう」と話しかけてもフンっ!てノリで、ずんずん構内をダッシュする。
やっとこさ左手を捕まえて、乗る予定だった停車中の電車に、1人で乗ろうとする彼の後から、私も乗車しようとする。そしたら次男は、電車に右足を入れようとして、ホームとの隙間に足をズボッと嵌め込んでしまった。
一瞬焦る。落ちる!
いや、それはないか。足がはまる狭さなんだから、下にカラダごと落下するわけない。彼も状況が飲み込めず、とにかくハマった足を抜こうとする。
抜けた。でもペロンと見えたのは靴下。
あれ?
落ちたな。。
彼の右靴が消えた。電車とホームの隙間から、線路へ落っこちてしまった。
ぎゃぁーーーーーー
くちゅ、おちちゃったあーーーー!!!
靴の落下に私が気づくのと同時くらいの、意外な早さで次男が号泣し出した。反射的に彼も異変に気づいたらしい。ちょっと面白い。
でも泣き声のボリュームが凄すぎるので、迷惑にならないよう、いそいそ電車を降りる。ホームに戻り、ギャン泣きの次男を抱えながら対処法を考える。
よし、窓口行こう。
次男に「おくつとってもらおう。駅員さんのところに行くよ。」と言って階段を上がる。靴が置いていかれる!電車に踏まれる!多分そう思ってる次男は落ち着かないし、泣き止まない。
はいはい、と背中をなでながら、駅員さんを探す。ちょうどポスターの張り替えをしている人を見つけた。
線路に靴を落としてしまった、と伝えると、「じゃ係を呼びますのでお待ちくださいね」と駅員のお兄さん。すぐに取ってくれるわけではないのね。係がいるんだ。
「あの、ちなみにその電車に乗ろうとしてたんですが…」
「ああ、それが発車しないと落下物が拾えないので、次の電車を待ってもらっていいですか」
駅員さんは次の電車の時間と、乗り換えが必要なこと、何番ホームで乗り換えるかも教えてくれた。
しばらくして、安全帽をかぶった係の方がやって来た。「どちらのホームで落としました?」こっちです、と停車したままの電車の方へ、一緒に歩いていく。その人は手に、さすまたのような物を持っている。さすまただと思った先の部分が、マジックハンドになっていて、そこで落ちた物を掴むようだ。
発車した電車を、見えなくなるまでしっかり見送ったあと、係の人は無線を取り出す。
「こちら常磐線勝田駅◯番ホーム、これより落下物収集作業を開始したいです、安全確認お願いします、どうぞー」
無線の向こうの誰かと、安全確認をしている。勝手に線路に降りちゃいけないって聞くけど、こういう係の人ですら安易に降りられないのか。びっくりだ。
無線の向こうでOKが出たらしい。「では開始します」と伝えた係員が、線路下にさすまた風の棒を降ろす。あっという間に靴を拾い上げた。マジックハンドの先に、ちっこい靴がつままれている。
係員さんは、先に私たちへ靴を渡してくれた。先に、と言うのは、靴を渡してくれ、「よかったねー」と次男に微笑み、その後に素早く無線を取り出し、作業完了の報告を行ったからだ。
早く渡して安心させてあげようとしたんだな。嬉しくなった。
「ね、電車乗る時は、手をつなぐんだよ」次男は泣き疲れのボケっとした顔で、うんうん頷く。これじゃ、次の電車を待つ間に寝てしまうだろう。次男のおかげで、また一つ、人生経験が深まりました。
この先も、こんな感じの、命に危険がない範囲のハプニングを頼むよ…。叶わないだろうけど、ウトウトしている彼に向かって念じてみた。
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