「あ、ありましたよ!駐車場に緑のエコバッグ、置き忘れられてます」
ホッとしたのと同時に、自分のボケっぷりに呆れてしまいました。
次男を連れて買い物に出かけたんです。イヤイヤ真っ盛りな彼が、お菓子を掴んで離さず「あけてなのーー!!」って駐車場で叫ぶので…
あーはいはい!ってエコバッグを地べたに置いて、彼を車に押し込み、お菓子の袋を開けて。
で、エコバッグを置いたまま、私も車に乗り込み…出発しちゃったんですね。夕方だし、明日取りに来て下さい、預かっておきますからー、と店員さん。なんて優しいの…。
もちろん「ありがとうございます!」と、電話口でお礼をしましたよ。お辞儀も深々。相手には見えないけど。
置き忘れ、予定忘れ。小さい頃はランドセルを背負い忘れて下校したこともありました。リアルサザエさんな私。
そんなサザエさん人生の中でもベスト3に入るエピソードは、電車を乗り間違えたこと。
今回のエコバッグもそうだったけど、みんな、困っている人には優しいんです。だからちゃんと「ありがとうございます」ってお礼さえ言えたら、人生何とかなります。
…私は勝手に、そう思っています。
当時栃木に住んでいて、生まれ育った沖縄を出ての初めての県外生活。
沖縄には電車がありません(今はモノレールがあるけど)。なので切符を買ったり、降りるまで無くさないようぎゅっと握りしめていたり。電車に乗り慣れるまでは、毎回ドキドキしてました。
ある年の夏、通信制大学のスクーリングのために、栃木から東京へ電車で出たんです。
2日間のスクーリングが無事終わり、これに乗れば帰れる!という最終電車に滑り込み。ホッとした私はそのまま、ウトウト寝てしまいました。
ふと起きたら、なんとなく違和感。「次は◯◯、右側のドアが開きますー」聞いたことのない駅名。
まさか。
間違えた?
慌ててカバンを掴んで、電車を降りる。
忘れもしない、駅の名前は籠原。何て読むの?
パカパカの携帯しかない時代。今どこにいるのかも分からない。とりあえず改札まで行って、駅員さんに相談しよう。
「お客さん、これ最終だから、明日の朝まで電車来ないですよ」冷たく言い放つ駅員さん。
「え、どうしよう…」思わず口から漏れてしまいました。
なんと宇都宮線に乗ったつもりが、群馬へ向かう高崎線へ乗っていたんです。籠原、かごはらは埼玉の端の方。やがて群馬県へ入りそうな場所に、私はいたのです。
当時一緒に住んでいた彼氏がいましたが、友人とキャンプに行ってて不在。助けてくれる人は誰もいません。
ホントに泣きそうな顔だったんでしょう。見かねた駅員さんが、白い紙に何か書き、引きちぎって私にくれました。
「お客さんあのね、明日の始発にタダで乗れる券だよ。貨物扱いで載せてあげる。
これで大宮ってところまで戻りなさい。そしたら宇都宮線に乗り換えられるから。
いい?絶対、始発の電車に乗るんだよ!
それから確か、向こうの方にビジネスホテルあるから。もう電車ないし、そこで今日は休みなよ」
いい大人でしょ!泣かないの!と、宥めるように、駅員のおじさんは早口で、私に言って聞かせてくれました。
「ありがとうございます。助かりました。本当にありがとうございます。」
何度も何度も、駅員さんに頭を下げました。
駅員さんの言う通り、少し歩いた先にビジネスホテルがありました。
急にホテルに泊まるほどの現金もなく、「これってクレジットカードですか?」とフロントのお兄さんにカードを確認してもらい。
初めてクレジットでお支払いをして、ホテルに泊まりました。
始発に乗らなきゃ。緊張で一睡もできずに迎えた朝。
籠原駅は車両基地でもあったようで。朝5時前の薄暗い中、何本もの電車がライトをつけて、出発の準備をしていた景色が、今もはっきり思い出せます。
貨物扱いで電車に乗った経験。後にも先にもありません。
あの時のワタシ。がんばったなぁ。
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