それを望んでいるのは誰ですか?「あなたのために」と思ったら問い返して欲しいこと

先生の働き方

新学期、とある男の子は、全く学習に参加しませんでした。


机に落書きをし、
鉛筆を折り
毎日しかめっつらをして、座っていました。

担任や支援の先生が近づいて
何か声をかけようものなら
机を蹴り飛ばしてキレました。


彼は「先生」を敵視していました。
それは4月にクラスが変わり
初めて顔を合わせる担任を、

いきなり睨みつけるほど
強いものでした。

去年の彼の様子は聞いていました。
けれど敵意の理由が分かりませんでした。


彼が新しい担任を信頼して、安心して話をしてくれるまで
半年かかりました。
そこでようやく、これまでの彼の行動の意味と
彼の中で起こっていた葛藤が
理解できました。


自分の心を守るために、乱暴な態度をとっていた彼

彼の去年の担任は
課題ができるまで、子どもに寄り添う先生でした。
どんなに時間がかかっても、できるようになるまで
一緒に取り組みました。


休み時間でも、放課後でも
その子のそばについて一緒に学習しました。

できるようになることが
あの子のためだから

それが正義だと信じて疑いませんでした。
彼も、できるまでやりましょう、と言われていた1人でした。

彼は同級生に悪戯をするようになりました。
物を隠す、写真の目をつぶす。
「この子は心が荒んでいる。危険な子だ」と
担任は彼をそう見るようになりました。

現象だけ見ればそう映ります。
本質は違う。
彼は傷ついていた。

できないならもっとやりなさい、
できるようになるのが、あなたの為なんだと押し付けてくる。


僕はできないやつなんだ。
何度やってもできない僕はダメなんだ。


できるまでやらせる。もうやめて欲しい。


物を隠したり、嫌がらせをしたり。
「もういやだ」っていう、彼なりのサイン。

出したけど届かなかった。


反抗的な態度の奥で
そんなことを思っていたことが見えて来ました。

彼は、彼の心を守るために、そうしてたんです。

それって本当は、誰のためなんだろうか。

一方で、去年の担任の思いも
理解できました。
「勉強できるようになるのがこの子のため」と思って
必死に指導したくなる思い。

子ども達に学力をつけてあげる。
確かに先生の仕事です。

そうだけどね。

どうして、子どもたちに学力をつけてあげたいのかな。

目の前の子どもがどうしたいか、聞いているのかな。

その子の表情、ちゃんと見てるかな。

「あの子のため」という言葉
別の何かとすり替わっていませんか?

「あの子ができないままだと、私にスキルがないと思われる」
「今までそうして来たんだから、それが間違いなはずはない」

どこかにそんな思いがありませんか?

外ではなく、自分の中に物差しを持って

あなたのためを思って。


一見優しさのように見えますが、

自分ばかりを見てる人が発する、言葉だったり。

あなたのためになるか、ならないかは
「あなた」の側が決めること。

してあげる側の「ワタシ」が決めることじゃない。

自分に集中しましょう。
「自分はどうしたいの?」

「それはどうして?」に、耳を傾けましょう。





【あなたのタネを咲かせよう】メールマガジン
登録はこちらから