そしてもし、あなたの窮地に駆けつけて美味しいごはんをつくってくれる友だちができたなら、あなたの人生は、たぶん、けっこう、どうにかなります。
上間陽子さんの著書「海をあげる」の一文だ。
あなたにはそんな人がいるだろうか。
知り合いも、親戚もいない土地に、子どもを抱えて四十路手前で引っ越して来た。
私には、この言葉がかなり沁みた。
ぐしゅぐしゅ泣いた。
たくさんのご縁が、そんな出会いを運んできてくれたのだ。
その日は朝から雨が降っていた。
だんだん小降りになりつつあるけど、しばらく止みそうにない。
しんどそうな顔で眠る次男のそばで、ぼーっと窓の外を眺めている。
長男は学校へ行った。もうすぐ習い事、プールのお迎えの時間だ。
迎えに行けないことはない。
でも雨だし、ようやく風邪が治りかけている次男も連れ出さないといけない。
もう5日くらい体調が悪い日が続いている。
日頃元気な彼もさすがに疲れて、機嫌が悪かった。
誰かに助けてもらいたい。
迎えに行ってもらいたい。
お願いできないだろうか。
同じ習い事で、学校でも同じクラス。
森のようちえんで半年お世話になった、ママにメールを打とうとスマホを取った。
でも、どんな言葉を書いてメールしたら迷惑にならないか。
断られた時の「あー言わなければ良かったなあ」を感じちゃったら。
私は打ちのめされて、動けなくなってしまうんじゃないか。
LINEアプリは開いたけれど、そこから先、フリックする指は動こうとして、やっぱり…と止まる。
散々迷っている間に、迎えの時間が間近になってしまった。
最後はえいっ!と勢いで、ママにお願いメールを送った。
「お願い」ができただけで、私の中では花丸だ。
助けてー!って言うことができた、言う練習ができたからだ。
「旦那にお迎え行かせます!」LINEが来た。
彼女は助けてくれた。
それどころか、夕飯をつくらなくて済むぐらいのおかずを持たせてくれた。
「ありがた迷惑覚悟で」と彼女は言った。
少し押し込むような親切に、泣けた。
彼女がくれたおかずを食べて、ようやく子どもたちを寝かせて。
それから読んだ本の
一言にまた泣けた。
いま、そのメッセージが来るか
とびっくりしつつ泣いた。
それが、冒頭の一文だ。
そしてもし、あなたの窮地に駆けつけて美味しいごはんをつくってくれる友だちができたなら、あなたの人生は、たぶん、けっこう、どうにかなります。
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