書けない。
書きたくない。
いつもスマホで記事を書くんだけど、スマホすら取りたくない。
こんなの始めてだ。どうしたんだ。
とりあえずイヤホンから、いつもの曲を流す。
だんだん手が動き始めて、思い出したあの子の事。
あの子も書きたくなかった。
あの子と、今の私。一緒だ。
半年かかって心を開いてくれた男の子
その男の子はノートも取らないし、教科書も開かない。いつもむすっとしたと顔をして、足を投げ出し座っていた。
鉛筆は床に散らばって、机は落書きだらけ。
片付けたら?と言おうもんなら、床に物を投げつけて怒った。
彼が私に話しかけてくれるようになり、一緒に勉強をしてくれるようになるまで半年かかった。
そんな折に、国語で「地域のことを紹介しよう」という学習があった。
食べ物や観光スポットなど、テーマを自分で選んでパンフレットを作成する。
私のクラスでは、それを他県の学校に送って見せ合うことになっていた。
彼はスイーツをテーマにするところまで決まっていたものの、ここから記事を書き進めるのが、全然進まなかった。
自分と必死に葛藤する彼
最近は楽しそうに学習してくれていたのに、国語の時間になると、以前のようにむすっとした顔に戻ってしまう。
他の子どもたちは執筆が進み、パンフレットに載せる写真を選び始めていた。
彼がテーマに選んだスイーツをいくつかプリントアウトし、「もしよかったら使ってね。ここに置いとくね」
とだけ言って側を離れた。
彼は自分をよくわかっている。みんなと同じように文章を書いたり漢字を覚えたりすることが得意ではない。
それが格好悪いし、できない自分にイライラする。かといって助けて欲しいと言うのも、プライドが許さない。
自分と懸命に格闘している彼のそばに、ベッタリ貼り付いて声かけするのは逆効果だ。
自力でパンフレットを仕上げた!
やがて彼は鉛筆を走らせ始めた。
画用紙には私のあげた写真が貼ってあった。
その下に、食材の説明や美味しさを書いていくらしい。
ノートまとめが上手い子は、こういうパンフレットのデザインも上手い。見栄え良く整えて仕上げていく。
彼のそれは、見栄えがいいとは言えないものだったけど、自力で最後まで仕上げきった。
いい感じのパンフレットができたねー!
彼もへへっと嬉しそうな顔をしていた。
思うようにやれない時の乗り切り方
書きたいけど書けない。
気持ちが乗らなかったり、望むレベルに自分を持っていきたいのに、持ってけない。
あの時の彼と、私がリンクした。
そんな感覚だった。
苦しいししんどいだろうけど、必要以上のアドバイス、声かけはいらない。
一歩目は自分で踏み出せる。
自分を越えていく方法も、彼から教わったわぁと懐かしくなった。
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