うまく回る組織の中には、必ず優秀な屋台骨的存在がいる。
バンドの屋台骨なら、ドラム。
エイサーの屋台骨なら、地謡。
クラスの屋台骨は、やっぱり先生。
自分の軸をぶらさないことと、バランス感が大事。
ママ友が所属している、ブラスバンドサークル。
そこの指導者さんがサックス奏者で、時折ジャズライブを開いている。
昨日はそのライブを観にいっていた。
終了後、サックス奏者の指導者さんと演奏者さんが、私たちのテーブルに来てくれた。
すっごいカッコよかったですー!
ギターの指の動きとか、もう惚れちゃいます
いい塩梅に酔った女子(私たち)が、口々に若い奏者さん達を褒める。
8分の7拍子という、聞いたこともない拍の曲を「やろう」と持ってきたらしい、ドラマーさんが野次られている。
「こんな頭がおかしくなりそうな曲、選んでくるんじゃないよ!」
細身で顎ひげ、穏やかそうな顔のドラマーさんが、へへへと笑う。
ベースとかドラムとか、屋台骨みたいな役割の楽器が好きだ。
それもあり、ドラマーさんに聞いてみたいことがあった。
「ドラムしてると、演奏が間延びしてるなーとか、リズムが早い!走ってるな!とか、感じますよね」
「ああ、感じますねえ」
「そんな時、どうしてるんですか?例えば、あー、テンポが早いなぁ…みたいな時とか。」
大学のサークルで、私はエイサーをしていた。
好きすぎて、手踊りに締め太鼓、チョンダラーと色々な役割をやった。
中でも地謡は長い事続けた。
地謡というのは、エイサーを踊るときに伴奏になる、三線を弾く人のことだ。
この人たちが下手だと気持ちよく踊れないし、最悪なのは弾くのが止まったら、踊りも止まってしまう。
地謡はエイサーの屋台骨。
三線を弾く地謡と目配せをしながら、踊り手のスピードや隊列を調整するのが大太鼓だ。
そう、同じ屋台骨のドラマーが、テンポが走った(早くなった)時の対処法について語ろうとしている。
「うーん、後ろで眺めてますね。おっ、今日は気合い入ってるなぁ、みたいな感じで。
ただこっち(ドラム)を聞いてくれないと困るので、僕は僕で淡々と叩きますね」
「なるほどです…。おーい、こっちだよー、って、しれっとアピールしてるというか。自分の軸は崩さないというか」
「そうっすね。基本は。周りの様子も音も見てますけどね」
そう。そうなの。
屋台骨ってそうなのよ。
観客が多かったり、夜にライトアップされた場所で踊ったりする時は、テンションが上がって太鼓が早くなりがちだ。
そんな時、三線を弾く地謡は淡々と自分のテンポを守る。
そっちじゃないよ、こっちですよー、ってしれっと合図する。
踊り手のノリに合わせ、少しテンポを上げる時もあるが、走りすぎると踊れなくなる。
バランスが大事。
私は基本は、合わせなかった。
走りそうになるテンポを締めて、締めて、最後に緩める。
すると「来たぞ!」って感じで、踊り手と観客のテンションが上がる。
そんな弾き方だったので「アメとムチの使い方が上手いよねえ」と言われていた。
そこまで喋っていて気づく。
教師もおんなじなんだよな。
クラスの屋台骨。
私たちの向かう先(例えば学級目標)はこっちだよー。と示してみせる。
場の雰囲気を見て、盛り上げたり真剣な表情をしてみたり。
アメとムチって言い方は乱暴かも知れないけど、そんなバランス感がある先生の学級づくりは上手い。
実に面白い。
面白すぎて、おかわりに出されるビールを流れのままに飲んでしまった。
頭も痛くてオチも見つからないので、このまま失礼いたします…。
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