豪快!ジャイアンみたいな子。
ある年のクラスに、ジャイアンみたいな子がいました。
体格がよく、声も大きいし、よく通る。
豪快で細かいことは気にならない。
でもあのジャイアンとは違ってて、弱いものいじめなんかしないし、
どちらかというとひょうきんで。
クラスのムードメーカー的な存在でした。
よくよく見てみると。
そんな彼のことだから「ちょっとやそっとの事は、気に留めないんだろう」と
初め思っていました。
けど、よくよく観察してみると、そうでもないのです。
元気よく外へ遊びに行く日もあれば、室内で女の子とトランプをしている日もある。
みんなから「面白いこと」を求められて、ちょっと困った顔をしている日もある。
友達がケンカしてたら仲裁に入ったり、自分が損な役を買って出ることもある。
ああ、繊細で優しい子なんだな。
そう感じました。
ご両親に聞いてみると、やはりそう。
外では元気そうにしていても、家に帰って来てしょげていたり
試合の前日に緊張でご飯が通らない、なんて時もあったりするんだそうです。
見た目が大きくて強そうに見えるものだから、なかなか理解されにくい部分もあって…
ご両親は学校での彼のことを、少し気にしているようでした。
そんな「見た目がジャイアン」な彼をめぐって、トラブルが起こりました。
男の子が私のところに相談に来たのです。
「〇〇くんが、乱暴するんです…。」
「そんなつもりじゃ、なかったと思うよ。」
彼を中心としたトラブルは、一度だけでなく数回、起こりました。
しかも同じ子からの訴えではなく、その都度別な子から「先生ちょっと…」と相談事が起こるのです。
もちろん、彼も呼んで様子を聞きました。
どうやら、遊んでいてはたき合いになって。
そのパワーが強かったり、口調がついキツくなってしまったりで
相手に「乱暴」と受け取られているような、そんな印象でした。
さて、どうしたものか。
双方から話を聞き、それぞれを集める前に
相手の子、彼にこんな話をしました。
相手には、
「痛かったし、嫌だったよね。でもね、いじめてやろうってつもりではなかったみたいだよ。」
彼には
「向こうは、痛かったり言葉がキツくて嫌だって感じたみたい。
そういうつもりがなくても、相手にはそう受け取られてしまうことってあるんだね。」
その後、当人同士で話し合って、今度からはこうしようね、と意見を伝えられたようでした。
同じようなトラブルが数回あった、と前述しましたが
その都度、同じように対応していきました。
彼は彼で、自分のパワーの扱い方を学んでいったようです。
少しずつ、そのようなトラブルも聞かれなくなっていきました。
その子を真に、見るということ。
ついつい私たちは、人のおおよそを見た目で判断してしまう傾向があります。
かくいう私も背が大きかったため、
「しっかり者」「よくできる子」と周りから見られることが多くありましたっけ。
たくさんの子どもたちと関わる「先生」と呼ばれるお仕事をしている皆さんは、
見た目で判断、ということは少ないかも知れません。
しかし見えないココロの部分を見ていくことは、容易ではありません。
様々な角度から、視点から。あるいは別な人の目を借りて。
子どもたちを深く知ってあげて欲しいなと思っています。
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