うちの子は時間内に、給食を食べ終えられるだろうか?
小学校入学が近づいてくると、母ちゃんもいろんなことが気になって、不安になりがちです。
周りの子と、仲良くできるかな。
先生の話を、きちんと聞けるかな。
わからないときは、お友達や先生に、ちゃんと質問できるかな。
お手洗いに1人でいけるかな。
書き出したらキリが無いくらいですよね。
なかでも「給食の時間内に、ご飯食べられるかな」って、解決するのが難しい悩みの一つかと思います。
どこの小学校も、給食の時間として確保されているのは、35〜40分くらいでしょうか。
給食を取りに行って、配膳するまでが15分ほど。
残りの時間が実際に給食をいただく時間という感じ。
食べている時間は、20分くらいですかね。
「そんなに短くて、子どもがご飯を食べられるわけがない!間違ってる!」
と怒り心頭の方。
どうぞ、学校に殴り込みに行ってくださいw
怒ったところで、 何にも変わりませんから。
そうではなくて、「どんな工夫ができるかな?」と伝えたい。
小学校で教員として、子どもたちと関わってきました。
また学校栄養士として、色んなクラスを見て回りました。
その経験から言うと、そこまで大きな心配は要りません。
で、「早く食べる練習」も必要ありません。
もっと大切なことが、他にあります。
新一年生の給食事情をご紹介
新一年生は、入学してから1週間〜2週間ほどは、12時前に下校してきます。
ちょっとずつ学校に慣れていこうね、という配慮です。
その後、4月半ば・終わり頃から給食がスタートしますが
しばらくの間は高学年の先輩たちが、給食の配膳を手伝ってくれます。
当然、配ってくれるのは早いです。
さらに4時間目の終わりぐらいから給食の用意をし始めます。
給食時間めいっぱい、もしくはそれより長く、食べる時間があるんです。
そういう期間が、1ヶ月〜2ヶ月ほど、続きます。
早く食べる練習をしなくていい、という理由の一つは、これです。
入学したての子ども達に合わせて、学校のスケジュールも組み立てられています。
慣れない環境で、食欲はわきますか?
学校栄養士をしていた時の話です。
年度のスタートって、「入学・進級おめでとう!」ってお祝いの意味も込めて、子どもたちに人気のあるメニューが並ぶことが多いんです。
(あれ、全然そうなってないよ?っていう献立を作ってる、給食センターの栄養士は、子ども心をわかってませんw)
それだけの心配りをしていても、4月って残さい(給食の残り)が多いんです。
しかも特定のクラスだけでなく、どのクラスも学年も、まんべんなく。
謎は、小学校の先生になってから解けました。
ああ、こんなに緊張していたら、いつもみたいに食べられないよね。
大人がイメージするとしたら、なんでしょう。
知人の披露宴に呼ばれたはいいものの、全然知らない人と一緒のテーブル。
美味しそうなご馳走が並ぶけど、なんだか緊張して箸が進まない…みたいな感じでしょうか。
新しいクラスって緊張するんです。
知ってる子が数人クラス内にいたとしても、新しい場所、新しい先生、今までとは違うクラスメンバー。
やっぱりどこか慣れない。肩に力が入ってるんだよね。
クラスの雰囲気が緩んでくると、給食を食べる量も変わってきます。
なので新しいことづくめの新一年生が、時間内に給食を食べられない、なんて起こって当然です。
個人差はありますが、学校や先生、お友達に慣れてくると、少しずつ箸が進むようになります。
一番は「楽しく食べること」。学校でも、おうちでも同じです。
大人もやってみれば「しんどいなあ」って思うはずですが、食べるスピードはいきなり上がったりしません。
それに何より、食べる早さばかり気にしてると、美味しくないです。
「早く食べなよ。食器洗えないじゃん」って、奥様に睨まれながら夕食をかき込む旦那様。
楽しくないですよねw
味わって食べられないですよね。
「味わう」って面白くて。
ご飯そのものの味もそうですが、その際の雰囲気も一緒に、味わってるんですよね。
ある年のクラス。
子どもたちと一緒に、教室のベランダで育てたほうれん草を、給食の時に食べてみようという話になりました。
カセットコンロで、私がほうれん草を炒めます。
ほんのちょっとずつだけど、子どもたちのお皿に配ります。
「おいしいねー」
「すげぇうまい!」
自分たちで種を植えて、水やりして育てたほうれん草です。
みんな嬉しそう。
私も一口だけ、一緒に食べました。
味はもうぼんやりとしか、思い出せません。バターだけで味をつけた、シンプルなソテー。
でも、おいしいね、楽しいねって記憶は、鮮やかに思い出せます。
保育士さんも、食事の時に楽しい雰囲気を作り出すのは上手いですね。
窓を開けてお部屋を明るくしたり、「いいにおいだね」ってニコニコしながら、食事を運んだり。
そうやって「楽しいなあ」って給食の時間を過ごしているうちに、量も進むようになってきます。
少しくらい、ご飯を食べるのがゆっくりでも、大丈夫です。
慌てて早く食べさせる練習なんて、ホント要りません。
むしろ、「学校の給食ってどんなメニューが出てくるんだろうね」なんて言いながら、お家で楽しくご飯の時間を過ごしてくれることの方が、何倍も大事です。
「大丈夫だよ」「楽しみだね」子どもたちに、安心を与えてあげてください。
子どもたちは賢いです。
きっと親の私たちが考える不安や心配を、すでに考えていたり、感じ取っていたりするはずです。
だったらむやみに不安の気持ちを増やすより、「大丈夫だよ」「楽しみだね」と、安心の気持ちを与えてあげて欲しい。
給食を早く食べる練習は、要りません。
「楽しいな」って思える食卓づくりの方を、心がけてください。
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