モノより思い出派の私が、どうしても捨てられなかった宝物

子育て

たった一年しか使わなかった名札。

先生がわたしの名前を手書きしてくれた名札。

先生が想いを込めてくれた名札だったからこそ、捨てられなかったのかも知れないな。

モノより思い出とはよく言ったもので、私は「もういいや」と思ったらサッパリすっぱり、モノを捨ててしまう。必要だったものも、うっかり一緒に処分してしまうので、怒られることもしばしば。

夫は反対に、「まだ使うかも」とか「これは集めてるから」とか、難癖をつけてモノを取っておきたがる。去年から今年にかけて、2回引っ越しをしているが、沖縄から海を越え、茨城県に着いても開封されない段ボール箱が数個。そのままゴミの日に出してやろう、と何度実行しかけたことか。

とにかく私は、決めたら捨ててしまう派なので、実家にも、もう自分の物はほとんど残っていない。こうして県外へ行ってしまう事も決まっていたので、両親に負担をかけないよう、ほぼ処分してしまい、これだけは置いてて欲しい、という箱が2つくらい、物置きに残してある。

その中にあるのは、卒業アルバム・文集(これらも捨てるか悩んだ)、そして小さな宝箱。小学生の頃からずっと取っておいていて、なぜか捨てられなかった物たちが、宝箱の中に眠っている。私が捨てずに置いたものだから、よほどなんだろうなと、これには手をつけずにいる。

沖縄を離れる前、一度その宝箱を開けてみた。もし、やっぱり捨てようと思うものや、万が一両親が手をつけたときに処分に困りそうなものがあれば、今、片付けていこうと思った。

宝箱の中の、これまで何十年も捨てられず、そこにあったものたち。やっぱりなんとなく、思い入れがあって、処分するには忍びない。

その中でも、小1のときに付けてた名札に、私は一番心が動いた。

ちょうど今、小1の長男も付けている、長細くて手のひらサイズの大きさの名札。クラスによってカラーが異なり、私は一年二組でみどり色。

当時は名札に、担任の先生が名前を書いてくれて、入学式に名札を付けてもらうんだったかな。6年生のお兄さんお姉さんが来て、名札をつけてくれ、手を引かれて体育館へ向かったんだっけ。

さすが先生、と言いたくなるような、ていねいでキレイな字で書かれた、自分の名前。当たり前に毎日名札をつけてた、一年生の時は何とも思ってなかったけど、進級し、もう名札をつけなくて良いとなり、なんだか寂しくなって、宝箱にしまうことにしたんだろう。

その後、大人になり初めて働いた市役所で、私は一年生の時の担任と再会した。どうしてもまた会いたくて、先生に連絡先を尋ね、後日2人でお茶をしたときに、「まだ名札を持ってるんです」と話した。

先生はなんて言ってただろう。びっくりして、その後笑ってたんだったかな。思い出せないのが悔やまれる。でも嬉しいなーって、確かそんなことを言ってたような。

先生のキレイな字。まだ見たことのない「なつみ」さんは、どんな子かな、なんて思いながら、きっと書いてくれただろう。

私は結局、そんな先生の想いを、取っておきたかったのかも知れないな。

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