相手を思いやる、ねぎらう。仕事だから「こなして当然!」じゃないです。

先生の働き方

仕事なんだから。対価をもらって働いているんだから。やるべきことをやるのは当然。

そんな社会人としての厳しさも大事。

一方で、「やってくれてありがとう」と、相手への敬意を忘れないのも大事。

あなたは周りの人を思いやり、ねぎらいながら、仕事に取り組めているだろうか。

「ごちそうさまでしたー!」

レジの横を通り抜けながら、子ども達が元気に挨拶をして行く。

友達家族とご飯を食べに行った時の出来事だ。

「作ってもらってありがとうってお礼を伝えるために、ちゃんと挨拶はするんだよ。子ども達にそう伝えてるの。」

友達である彼女がそう教えてくれた。その子育て方針に共感したし、挨拶で感謝を伝える子ども達にも、すごく感激した。

お金を払ってるからご飯が出てくるのは当然、じゃないよね。その人達はお仕事なんだから作ってくれて当たり前、じゃないんだよね。

臨時職員を長くやっていた、知人の話も印象的だった。当時彼女と私は同じ学校で働いていた。彼女は学校事務職員で、私は学習支援員。

「臨時で働いてたらさ、毎年学校が変わるの、大変じゃない?」

「わかります!」私も彼女と似たような働き方をしていたので、すごくわかる。

「ねー、いつも1から覚え直し。ずーっと新人さんみたいで落ち着かないよね。でもさ、毎年みんな、丁寧に教えてくれる。ありがたいね。」

あなたのために動いてあげたい。彼女の在り方が、周囲をそんな気持ちにさせている。

隣で見ていた私は知っていた。

「ありがとうございます、助かりました!」こんな感じで、いつもお礼の言葉と笑顔を欠かさない。彼女は周囲から愛される人だった。

彼女と一緒に仕事をするのは心地よかった。きっと他の職員も同じ気持ちだったはず。彼女に迷惑かけちゃいけないな…そう思い、出勤簿の押印や書類の提出、苦手な事務作業もぶっちゃけ、彼女のために頑張っていた。

思いやり、ねぎらいの気持ちは人を動かす。あの子のために頑張ろうって、自然と体が動いてしまう。

もちろん仕事だからそんなの関係ない、やると決まったことをちゃんとやるんだよ!って意見は、すごく分かる。もっともだ。

でも「仕事だからやるんだよ」って、なんだかロボットみたいじゃないか?

故郷、沖縄で、小学校の先生として10年ほど働いていた。

私が出会ってきた校長先生は、新しく赴任されると決まって、週案(毎週提出する予定表)にしつもんを書いてきた。

きっと、どんな先生方がいるのか、どんな思いを持ってるのか、知りたかったんだと思う。私たち担任の先生が、新学期、クラスの子ども達にいろいろ尋ねるのと同じだ。その気持ち、よく分かる。

4月はとにかく忙しくて、1分1秒でも時間が惜しい。でも必ず、校長先生の質問に答えを書き、週案を提出していた。校長先生は皆、「答えてくれてありがとう」とコメントを残してくれたり、わざわざ声をかけに来てくれたり、直接私に感謝を伝えに来てくれた。意外なほど喜んでくれた。

そんな校長先生達は、私のちょっと面倒くさいお願い(外部講師を呼びたいとか、子ども達を激励しに来て欲しいとか)にも、なんだかんだで応えてくれた。また、トラブル対応に迫られた時には、自ら動いて、一緒に解決に乗り出してくれた。

ある年、保護者への対応がとてもしんどかった時期があった。

ガチャン!かかってきた電話がようやく切れた。昨日も一昨日も、こんなことを繰り返していて、ぐったり。こんな疲れた顔のまま、教室に戻れない…と突っ立っていた私に、校長先生が、近寄って来た。

「しんどいな。辛い思いさせたな。ごめんな。ここからは、間に必ず俺が入るから。頑張ってくれてありがとう。」

以後校長先生は、徹底して私を守ってくれた。「担任を出せ!」と怒鳴り込んで来ても、電話がかかってきても、絶対に私を矢面に立たせたりせず、校長先生が対応してくれた。

どんなに私は救われたことか。

先生方の中には、校長先生のことを色々と言う人もいた。「あの人はワンマンだよ、こっちの話なんか聞かない」と憤りを口に出す人もいたけど、そうは思えなかった。

結局「相手は鏡」だ。仕事場であっても、そうだ。冷たい言い方になるが、自分の文句ばっかり陰でいうような人を、身を挺して守ってあげようなんて、私だったら思わない。

どんな風に人間関係を築こうとしているのか。結局、仕事でも家族においても、それが大事なんだな。

自分に心を寄せようとしてくれている相手に、人はやっぱり、応えたくなるものだ。

目の前の人は、どうやったら喜んでくれるのかな。そんな問いを、いつも持っている人間でありたいな。

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