言葉って、こんなに人を傷つけるんだなって、先生は思ったんだ。
言葉を大切にして欲しい時。
時には手紙やメールの方が、より相手を傷つけてしまうんだよーと伝えたい時。
子ども達に話すエピソードがある。
恋愛話なので重くもならないし(ならないように喋るし)、先生の恋バナ!ってだけで盛り上がってしまうので、どれだけ届いてるのかは微妙なところなのだけど。
あんな痛い経験をしてて良かったなー。
もちろん当時は、泣くほど辛かったけどね。
恋多き少女の昔話
子どもの頃の私は、恋多き少女だった。
大抵クラスに好きな子がいたし、恋愛のことばかりを日記に綴って楽しんでいた。
おかしかったのは、一番人気な男の子というより、隠れた優しさのある子とか、笑った顔がカッコいい子とか。
そういう、みんなの選ばない子ばかりを好きになっていたこと。
掃除当番が一緒で、私の分まで布巾を取ってくれた。
そんなことで好きになったりしてた。
可愛いなぁ。
そんな私が、高校生になって初めて好きになった子。
思い返せばだいぶ不思議な人だった。
ロッカーに入れてたサムライ?の香水を、体育の後、制汗剤代わりにシュッシュしていた。
ドラマーだったのだが、机をドラムセットにして、ノリノリで叩いていた。クラスメイトは理解してたけど、遠巻きに見たら変な人だったろう。
一体、何に惚れたんだろう。
ドラムを叩けるのがカッコよかったのかな。
自分に無いものを持ってるなーって感じたんだろうか。
とにかくその人と親しくなりたくて、頑張って話しかけてみたり、どうにかメアドを交換するまでに至った。
彼から届いたファックなメール
俺に好意を持ってるな。向こうも分かったのだろう。
部活が終わり、家に帰っている最中にメールが来た。彼からだ。
「今度どっか行かない?」
そんな事が書いてあった。
2人きりで話した事もないのに、一緒に出かけるのはハードルが高すぎる…
もう少し、親しくなってからではどうかな。
みたいな事を送った。
「は?お前俺のこと好きじゃないのかよ」
え。
うん、好きではあるけど、一緒に出かけるのはちょっと早いような…
まごつきながら返事を送る。
「もういい!お前なんて……
と、その文の後には、もう文字に起こしたくないような言葉が羅列していた。
ファッキュー!みたいな感じの言葉。
彼、語彙力もパンクな感じだったのね。
もちろんそんなシュールな受け止め方、高校生の私にはできなかった。
それなりに好意を持っていた人から受ける、言葉の暴力のツラさ。
それを口で言われるんじゃなく、文面で受け取った方が、ダメージが大きかったこと。
ついでに自分の、人を見る目の無さ加減。
いろんな気持ちが入り混じって、まだ夕焼けが残る帰り道を、泣き泣き歩いた。
このまま、お付き合いなんかにならなくて良かったー。
歩いてたからか、ちょっとだけ、そんな前向きな気持ちも浮かんだ。
エピソードは記憶に残るというから…
口で言われるより、手紙やメールで悪口ぶつけられる方が、心が傷つく事もあるんだよねー。
ちょいちょい間を端折りつつ、必要だなと思った時に、このエピソードを子ども達にしていた。
恋愛話なので、キャーってなったまま終わっちゃう子もいたし、先生かわいそう!そんな奴と結婚しなくて良かったね!と同情してくれる子もいた。
そんな感じでいいかなと思う。
いつかどこかでこのエピソードを思い出して、優しくなれる言葉かけ、コミュニケーションをしないとな。
って、頭によぎってくれたらいいな。
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