学校や保育園、幼稚園には、たくさんの子どもたちがやって来る。家庭の様子も、きょうだいの有無もみんな違う。
いろんなことが「違う」お友達と、遊んだり走ったり、時にはケンカして泣いたり。
楽しい事はもちろん、痛いことやイヤな事も、自分の手で体験して学ぶのが大切なんじゃないかな。
「最近色々言われちゃうからね、ウチの園も、ケガやケンカには慎重なのよ」
とある子育て支援センターに行った時、保育士さんが言っていたことだ。
子育て支援センターは、保育園や幼稚園にまだ通っていない子を持つ保護者さんが、子どもを連れて遊びに来る施設。
市が運営していたり、保育園に併設されていたり、仕組みはいろいろ。
その日は保育園に併設されたセンターに来ていた。園児さん達が過ごすお部屋に囲まれて、子育て支援室というのが設けられている。
その日は晴れていたので、園児さんもわが子も園庭で遊ばせながら、保育士さんがそばでお話をしてくれた。
「最近の風潮、って言うんですかね。ケガやケンカは必ず、親御さんに報告するんですよ。」
だから怪我をさせないよう、喧嘩が起きないよう、先回りし過ぎている先生もいるのがねー。フリー(担当クラスがない)の私としてはねぇ。
スコンと明るい、ご年配の保育士さん。たまに来る支援センターなのだけど、この方とのお喋りが楽しくてつい、訪れてしまってるところもある。
先生の話を聞いてて、ふと思い出した。
「◯くんが私に嫌なことをして来ます」みたいな、告げ口っぽい事を言う子が増えた。
小学校で働いていた時、何かのタイミングでそう思った事があった。昔はそういうこと聞かなかったのに…と、不思議に思っていたんだ。
きっと、保育園や幼稚園で、すぐ大人が間に入って処理してたんだろうね。
子ども達同士での嫌なこと、例えば物の取り合いとか、嫌なことを言われたとか。そんなことが起きた時に、事が大きくなる前に「そんなことしたらいけないよ」みたいな感じで、大人が止める。
子ども達は、嫌なことの解決の仕方や、その場の乗り越え方を知らないまま、小学校へ上がって来る。
そうしたら、何か起きた時にすぐ「先生…」って言いに来るのも理解できる。だって、いつも先生が来てくれてたんだもんね。
ある学年を受け持った時、あまりにも先生への告げ口が多かった。「先生、あの子が叩きました」「向こうで2人がケンカしてます」みたいなのが多かった。
対応しきれない!私は困っていた。ひとつひとつ仲裁してたら、もう身体が持たない…。
くたびれた私は、何にもしなくなった。と言ってもホントに何もせず放置していたわけではなく。
私からアクションを起こすのをやめた。子どもたちが話をしにやって来る。それをひたすら聞くだけに徹することにしたのです。
「先生、◯くんが私に嫌なことを言って来るんです」
「えー、そうだったんだね。」
「うん、で、私がやめて!って言っても聞かないの」
「そうなのかあ」
「うん。でね、私先生に言いつけてやる!って言ったの。そしたら行けば良いじゃーん!って言うの」
「うん」
「でね、来たの。」
「うん。」
「でね…、先生、一緒に話聞いて欲しいの。」
なんだ。これだけで良かったのか。
聞いてあげればよかったのね。
面白いことに、聞くだけで揉め事の大半が解決した。
困ってるから一緒に話を聞いて欲しい。
向こうでケンカが起きている。間に入って話を聞いて欲しい。
あの子がしょっちゅう自分を叩いて来る。何でそんな事するの?話を聞いて欲しい。
うん、大半が聞いて欲しいだった。
中にはあれこれ私に愚痴ってスッキリして、もういいと帰って行く子すらいた。ただ喋りたかったのね!
そのうち私が呼ばれる回数も減った。自分たちで解決できることもあると、なんとなく子どもたちも学んだんだろう。
自分たちで解決する機会を作ってあげる。問題にぶつかる練習をさせてあげる。
うまく行っても、失敗してもいい。練習なんだから何度でもやってみたらいい。
人との関わり方の練習を、安心してさせてあげられる場所が、学校や保育園だし、幼稚園だよね。
園児さんとおもちゃを引っ張りあう、やんちゃな息子を眺めつつ、私はそんなことを考えた。
【怒らない、ごきげん母ちゃんでいるための3つのコツ】の音声
メルマガ登録でプレゼントしています。
↑登録はこちらから↑
コメント