図工の時間って面白いんです。
子ども達の個性が、まんま出てくる。
書くとか、創るって、その人を通して「カタチ」が出てくる。
作文や日記、絵やねんど。その人らしさが、文章や色の選び方なんかに滲んでくる。
図画工作は、絵や作品を見ただけで、パッとその人らしさが分かっちゃうんだよね。
それを私たち教師は「絵には個性が出るよねー」なんて言い方をしている。
子どもたちがかけて欲しい声は、人によって違う。
ノリノリになる言葉をかけて欲しい。「おっ、いいね!」「すごいなー」って、どんどん褒めて欲しい!
自分のペースでつくってるから、声かけないで欲しい。
細かく確かめながら進めたい。「困ってる事はない?」と聞いて欲しい。
マイペースを守りたい子に「大丈夫?」なんてうっかり声をかけたら、ウザそうな顔をされちゃいます。
自分がされると嬉しい対応が、相手にも刺さるとは限らない。人付き合いの難しいところだし、人間って面白いなと思うところです。
その日はノコギリで切った板を組み合わせて、作品を作ることになっていました。
ある男の子が私のところに来て「先生、どうしてもこれを切りたいの。」と板を見せてきます。
ノコギリで板を切る作業は、前の時間に終わっていました。大人がつかないとどうしても危険なので、支援員さんも、複数来てもらっての大仕事。
もう今日はノコギリの作業はないよ、と話してはいましま。
でもその子はどうしても板を切りたかった。理由は「今、ひらめいたから」。
あなたなら、どんな対応をするでしょうか?
これ、昔の私なら「最初にルールを言ったでしょう」とか「ひとりだけ特別扱いはできません」とか、言ってたと思うんです。
私が、ルールや秩序を大事にしたいタイプ
というのも相まって、尚更この子のお願いを聞くなんて、しなかっただろうな。
今は分かる。
男の子は、瞬間瞬間でピン!と、ひらめきやアイデアが湧いてくるタイプ。頭ごなしに「ダメ」なんて否定したら、気分が下がって、作品づくりもやる気がなくなってしまうだろうな。
なので、その子を教卓の近くまで呼んで、耳元でこっそりつぶやいたのです。
「分かった。特別だよ。一個だけね」
まるで明かりがついたかのように、パァッと彼の顔が明るくなりました。
「ありがとう!」
彼は嬉しそうに、ベランダに走って行きました。万が一のために、用具室からノコギリを持って来ておいたのです。「いや、先生も側についてからね!」と、慌てて後ろから声をかけます。
そんな事をしたら、他の子達は「ずるい!」「私も切りたい!」なんて言い出すんじゃない?と思いますよね。
これがね、いなかったんです。
その子がしたいなら、良いんじゃない?
私はいいかな。
なんか、それぞれの個性をみんなが受け入れてくれている。そんな雰囲気がクラスには産まれていました。
「なんで◯くんはノコギリ使ってるの?」
と聞いて来た子はいましたね。
「うん。なんか良いアイデアか閃いたみたい。どうしても切りたいの!って、さっき先生にお願いしに来たんだよ」
私はさっきのやり取りを、そのまま伝えました。
「ふーん、そうなんだ」
それ以上は聞かず、その子は自分の作業に戻って行きました。
彼はその行動の理由が聞きたかった。知れたから、納得したんですね。
これもまた、人は人、自分は自分でしょ!なんて、うっかり言ってしまいそうな場面ですね。
自分とあの人は、何が違うのか。
この人とその人の、違いは何なのか。
「違い」があるのは当たり前。そこをどう受け止めるのか。どんな工夫ができるのか。
そこに目が向くと、いつもよりちょっと、優しくなれますね。
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