やれる事と、したい事と、やりたい事と、やれるかどうか分からない事と。

子育て

「えー、やっぱやりたくないかも…」

せっかくここまで来たのに、そんな事言う?

長男に向けて、本音が出かけた口を、真一文字につぐんで黙り込む私。

長男がしてることは、人の振り見て我がフリ直せなサイン。

やれそうな事ばかり選んで、逃げてるよね?ってメッセージ。

私が正に、そうじゃん…。後で気づいて、ため息が出てしまったのでした。

知り合いのビッグバンドを聞きに、水戸から車で1時間ほど離れた日立市へやって来ました。

ちなみにビッグバンドってなんぞや?という皆さん(実は私もあんまり分からない)のために、Googleさんに尋ねてみましたよ。

ビッグバンド(Big Band)は、ポピュラー音楽、特にジャズにおけるバンド形式の一つ。 一般には大人数編成によるアンサンブル形態のバンド、あるいはこの形態で演奏されるジャズのジャンルのことを指す。 バンドはジャズ・オーケストラ、ジャンルはビッグバンド・ジャズと表現をすることもある。

Wikipediaより

トランペットやトロンボーンなどの金管楽器・サックス・クラリネットなどの木管楽器・そこにドラム、ベース(エレキだったりウッドベースだったり)、ピアノの入った大所帯なのが基本。

演奏していたのはジャズが主だったけど、昭和ポップスっぽい、ボーカルにコーラスをつけて歌っているような団体さんもありました。

カラオケ喫茶のような雰囲気だったな。

おじさん、おじいちゃんばかりのビッグバンド。見た目と裏腹な、骨太サウンドにびっくり!

今日の目的は、演奏を聴くこともそうだけど、長男にドラム体験をさせたいな、というねらいもありました。

去年、おととし、とある音楽番組の影響でドラムにどハマりしていた長男に

「ね、ドラム自由に叩けるコーナーがあるって。行こうよ」

と声をかけてみたのでした。

私も気づけば良かったんです。

長男はその時々で、興味関心がコロコロ変わる男。

そして彼が目下、興味津々なのは「ポケモンメザスタ」。

ででーん。これです。

ドラムは今は、あまり興味がない。面白いけれど、ナンバーワンではない。

それでも多分「自由に」叩いてよい、というのに惹かれたのでしょう。「行く行くー」と返事した彼。

気分の良くなった私は「よーし行こう」と即決。夫が車を出してくれることになり、いざ片道1時間かけて、日立市へ向かったのでした。

会場はショッピングモールのイベントスペースでした。建物は吹き抜けになっていて、入り口を入った途端に聞こえてくる、存在感抜群な、金管楽器の音。

うわーカッコいい!私は1人、テンションがあがります。

長男は「母さん、ブックオフがあるよ。メザスタのタグが売ってるかも」そっちに気が気じゃない。

いや、音楽聞いて、ドラム叩きに来たんですけど。

「うん。じゃ用事終わったら行くから」とだけ返事して、ドラムの体験コーナーへ向かいました。

エスカレーターをいくつか上ったら、すぐ目の前にドラムセットが並べられた場所がありました。ちょうどお知り合いがボランティアスタッフで、そこに立っていらっしゃいました。

長男が「ええ…」って言ったのを、母は見逃しませんでした。

「ほら、やっておいでよ」

「えー、ここみんなが見るから嫌だよ」

「大丈夫。だれも見てないよ」

「でも…」

とりあえず座る。

今から2年前。

長男がドラムにのめり込んでいる当時は、かなり頻繁に、楽器屋さんのドラムコーナーを訪れては、試奏をさせてもらってました。

コロナ禍もあり、妊婦で遠出をさせてあげられなかったのもあり。せめてしてあげられる事を、って思ってました。

楽しすぎて30分くらい叩き続けてて、周りの目を母が気にしてしまうほど。それくらい長男はドラムが大好きだったんです。

けどあれは、好きなように叩いてよかったから。

それも大きかったんだと、今更ながらに気がつきました。

みんなが見てる前で上手くできない、それはカッコ悪い。

それを気にする彼は、ドラムを叩いた後「疲れたー」と立ち上がりました。

彼なりの「もうやらないよ」っていう合図です。

「ぼくはピアノならできるんだ。それなら自信あったんだよ。」

せっかく来たのに。お知り合いが叩き方のレクチャーまでしてくれたのに。

そんなモヤモヤが消えない私はつい、「なんでも練習しなきゃ上手くならないよ」と言い放ってしまいました。

あー、言っちゃった。

その後、私は聞きたかったビッグバンドの演奏を聞いて。

長男はたまたまお友達を見つけて、遊んでくるとその場を離れ。

長男にひどい事を言ってしまった。自己嫌悪しながら私は1人、軽快なジャズの音色に包まれ、ぼーっと立ち尽くしていました。

上手くできない、だからやらない。

そうなりがちな長男。彼の性格というか、素質も相まってそうなるんだろうと考えていたんだけど。

それだけじゃない。

よくよく考えたら、私もそうじゃないか。ふと気がつきました。

何かやろうとする時に「できるモノは何だろう」って視点で、考えてるよね。

やれるモノの中から、選ぼうとしてるよね。

そう。ホントなら私は、サックスを吹けるようになりたい。

大袈裟な表現だけど、生きてる間に吹けるようになりたい!って思ってる。

でも、やってない。

「やったことない」からスタートするのが大変なのは、もうアラフォーだし、経験的に分かってる。

楽器代もかかるし、レッスン費もかかるし、続けられるか分かんないし。

ブレインストーミングしてるかのように、できない、やらない理由がスラスラ湧いてくる。うわ、ウケる。

長男に偉い事言えない。私も一緒じゃん。

ムーンライト・セレナーデが流れて来た。ジャズの名曲。思わず身体が揺れる。周りのお客さんも気持ちよさそうに演奏を聞いている。

身体を揺らしているうちに、自分の奥から声が聞こえて来た気がした。

そう。私、サックス吹きたいの。

もっと定期的に、沖縄にも帰りたい。

怖いけど、新しい働き方にもチャレンジしてみたい。

ああ、長男が見せてくれた姿は、今のわたし。そのものだった。

「聞き終わったら、僕のメザスタ(買い物)に付き合ってよね!」

長男との約束でした。

わかったよ。どうぞどうぞ。

ブックオフのお目当てのコーナーに来た長男。

ダイマックスピカチュウと、テラスタルピカチュウと、ゴージャスピカチュウのタグ(ググってください♪)をゲットして、レジへ向かう長男。

ピカチュウ3匹も、ゲームで使うんかい?な長男。

いいよ。やりたいことをやりたいように、やったらいいよ。

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