ないならつくればいいじゃん。
そうやって、家の一角に自分で部屋を増やしてしまった知人がいました。
「固定資産税が増えないように、上手く工夫してやったんだよ」
と自慢げに話してましたが、そもそも「自分の欲しいスペースがないなら、家を建て増ししてしまえ!」という発想にびっくり。
しかも、それを実行してしまった。
空いた口が塞がりませんでした。
ちなみに知人は大工さんではなく、普通の会社員です。
私なんて、ないなら買ってくればいいさー、と考えてしまいます。
今や、大抵のものは買えば揃ってしまうもの。
ないなら自分で作ればいい。
そんな発想、皆さんはお持ちでしょうか。
話は変わりますが、先日長男が宿題をしながら「ああーっ!」と叫び出しまして。
びっくりして尋ねてみたら、
「かずのせんがないから、わかんないんだよーーー!」
と喚きつづけてます。なんなら泣きそうです。
「こんなんで泣かないの!ないなら書けばいいじゃん!」
なんでわが子には、ちょっとキビシめになってしまうのでしょう。
冷たい母ちゃんです、
長男が今にも破り捨てそうなプリントに目をやって、
かずのせん
…ああ、数直線ってことだね、
と理解しました。
そして泣きそうな長男からプリントをむしり取って、
75より2 ちいさい かずは( )です
という問題文の下に、数直線を手書きしました。
定規は使わず、70から80までの目盛りを、スッスと書いてしまいます。
「ほら、こうやって適当でいいから、数の線を書いてみたらわかるよ。75ってどこ?」
みたいな感じで考えていくと、「なんだ、じゃあ、できそう」と落ち着きを取り戻した長男。
これを見て、昔受け持っていた、とあるクラスを思い出しました。
その子達はもう3年生。カンタンな数直線くらい、自分で書けてもいい学年でした。
でも長男と同じように
「数の線がないから分からない、できない」
と言う子が、クラスの半分くらいいました。
この子たちは、自分で数直線を書いた経験が、なかったんです。
去年の話を聞くと、国語でも算数でも、プリントをノートに貼りながら学習をしていたんだそうです。
配られたプリントを、穴埋めするだけ。
当然数直線も、書いてあるものを指差しながら、答えを見つけていくだけ。
だから、数直線の書き方がわからない。
どうしよう、って座ってるだけ。
なんなら、「なんでプリント用意してくれないの?」みたいな不満げな顔を、私に向けている子もいました。
いやいや、なんで私に怒りをぶつけるの。門違いもいいところ!
「あのね、ないなら書けばいいんだよ。
数直線があった方が分かりやすいなら、自分で作っちゃえばいいんだよ」
私は黒板に、子どもたちはノートに、数直線ってこうしたら自分で作れるよ、っていうのを教えました。
長男にしてやったように、手書きでススっと書く方法です。
何度も何度も、書く練習を一緒にやりました。
「先生、定規でちゃんと線を引かなくていいんですか。」
学研かな、公文かな。そういった学習塾に通っている子が訊ねてきました。
「定規いらないです。
ここはキレイな数直線を書くのが大事、な訳じゃないから。
ササっと数直線を書いて、答えが出せるのが大事です」
え?
って目を丸くしてましたねぇ、子どもたち。
線を引く時は定規を使えと、言われて来てたはずだもんねぇ…。
予想ですけど、そういった「子どもたちの作業時間」を減らすために、プリントを配って貼らせていたんだと思うんです。
ただ、自力で作業する力や、問題解決するためにあれこれ工夫する時間も、一緒に奪ってたんでしょうね。
今の子達は、自分で考えようとしない。そう言って大人はため息をつくけど、そうさせてしまってる一端が、大人側にありませんか。考えさせられましたね。
3学期に入る頃には、誰も何も言わなくても、「分からないなら、数直線書いてみよう」って、できるようになっていました。
テストの端っこに、手書きされた数直線をいくつも見つけた時には「自分で考えて、工夫したんだなぁ」って、ちょっと嬉しくなりました。
数直線を書くことと、自力で家をつくること。
スケールはまるで違いますけどね。
「ないなら作ろう」って視点を、少し子ども達に見せてあげられたのかなと思います。
うん。ないなら作ろう。
朝ごはんのパンがない。…ちょっと面倒だけど、こねて焼こう。
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