昔、支援員として小学校にお勤めしてた時の話です。
ある男の子に付き添っていたのですが、その子は自分の気持ちをコントロールすることが苦手でした。
例えば、問題がうまく解けなかったりすると、イライラ、イライラ。
「もうやんねぇ!」って怒って
鉛筆を投げて、廊下に飛び出しちゃうことがありました。
またあるときは、休み時間に友達とトラブル。
ドッジボールをしてて、ボールが当たった、当たってないの
微妙な判定に納得がいかない。
「あいつ嘘つきやがった!」と殴りかかりそうになるので、慌てて制止すると
「クソババァ!」って私の手を振り払い、どこかへ走り去り、戻って来ない。。。
えーっと、私まだ20代なんですけど。
そして、もう授業始まってるんですけど。。
当てもなく、学校中を歩き回って彼を探しましたっけ。
彼との出会いのおかげで、小学校の先生になった私の「ストライクゾーン」は、かなり広がりましたねー。笑
「学校の外にでなきゃOK」
「人に危害を加えなければOK」
「吐いた唾は、後で拭けばOK」
元気にニコニコ、学校に来てくれたら、それだけでOK!
さてそんな彼、彼自身が「困っている」って事にも、徐々に理解ができるようになってきました。
彼だって、みんなと同じようにしたいんです。
座って授業を受けたいし、みんなと仲良く遊びたい。
でも、上手くできないなって困ってたり、なんならそういう自分にムカついてたり、自信を失いかけていたり。
「あの子は困る」じゃなくて
「あの子は困っている」なんですよね。
その日、彼と私は多目的室で課題をしていました。
どうしても教室の騒がしさに彼が耐えられなくて、イライラし出したので
彼が担任の先生に「外に出たい」と伝え、課題を先生から預かって、別の部屋に来てたのでした。
(珍しく)落ち着いて課題に取り組みながら、彼がボソッと呟いたんです。
「あー。俺どうやったら、教室に行けるかなー」
一瞬、私は手が止まり。え?って表情で彼を見ました。多分そうしてました。
びっくりしたんです。
彼が、とても前向きな問いを呟いたから。
「なんで・・・」って言うのは、ある意味理由や原因を探しに行く言葉です。
「なんで遅刻したの?」
「なんで忘れ物したの?」って聞くと
出てくるのは「だって、、、」って、言い訳です。
言い訳する相手が悪いんじゃなくて、しつもんの仕方の問題です。
彼も結構、「なんで俺はできないんだ」って感じで
自分を責めるような言葉を使ってたんです。
そのたびに、「次はどうしたらいいかな?」「あなたはどうしたい?」って
未来を探しに行くしつもんをしてました。
やった事は変えられないもんね。次のことを考えた方がいい。
そのやりとりのおかげだったのか、彼がふと、思い浮かんだ事だったのか。
「どうしたら教室に行けるかなぁ」
って呟きが素敵すぎて
「それ、すっごく前向き!いいね!」と
思わず興奮してしまいました。
先生と生徒もそうだし、親と子どももそう。
上司と部下だって、そうかもね。
尋ねる言葉ひとつ、どう選ぶか、どう使うかで
相手の何を引き出すかが変わってくる。
細かいし難しいし、でも面白いところだよなと
私は思ってます。
あなたは周りの人に、どんな関わりを
どんなしつもんを
してるでしょう??
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