「靴下や下着はぜったい白」「地毛でもパーマはダメ」そんな校則は理不尽だ!というニュースが、最近話題になりました。
ちなみに私は地毛が天然パーマ。高校進学時に怒られるのを恐れ、ベリーショートにしたのを覚えています。
ナゾの決まり事は、中高だけでなく小学校にもあるんです。
そんな決まり事についてどう向き合っていくか。そんな話をしたいと思います。
「並んで移動」が上手くできない、ウチのクラス
先日、私と同じく学校の先生をしている友達と話していて、こんな話題が出ました。
「低学年は、並んで教室を移動する決まりになっているんだけれど、自分のクラスは上手く行かない。
ちゃんと並ぶ子と並ばない子がいて、みんな揃うのを待っていると全体がだれてしまう」
「もう、並ばなくてもいいかなとも思うんだけれど。そういう決まりだよって管理職からも言われてね…」
そんなちょっとした悩みを受けて、どうしたらいいんだろう?とその場にいたみんなで考えました。
もしあなたがそのクラスの担任なら、どんな対応をするでしょう。
並んで移動する、その理由は何だろう?
好き勝手に道路を渡ると危ないから「信号が赤の時には渡らない」みたいに、本来それが決まった際の理由があるはず。
まれに、理由がない・あるいは誰も分からない、なんて場合もありますが…。
その決まりに理由があるのか、ないのか
私が赴任したことのある学校を例に話します。
ひとつ目は「並んで移動」の決まりがあり、その理由も文章化されていました。
理由は安全のため・人数確認のため。
その学校は理科室や体育館が離れた場所にありました。移動の際に子どもたちに何かあっては危ないので、基本並んで移動するようになっていました。
また一時期子どもたちが落ち着かず、気づいたら校舎内から子どもがいなくなる…なんて事が頻繁に起きた。移動教室の際にそれが起きやすかったため、皆いるか確認をしてから移動しようと決まったそうです。
私が赴任した際にも、さっきまでいた子どもがいない!という事件が数回ありました。昔作った決まりではあったけれど、その学校には必要でしたね。
4月の新年度には「決まりごと」の話も会議に上がり、新しく来た先生方へ理由と共に伝えられていたので「みんなで守ろうね!」のような雰囲気でした。
もうひとつの学校について。
「並んで移動」の決まりはありましたが、文章化されるほど理由ははっきりしておらず。
強いて言えば児童数が多いので、バラバラに移動すると危ないからと言われていました。
なので「なんでだろう?」という部分が曖昧なまま、先生方もやったりやらなかったり…。でもやらないと管理職や生徒指導担当から、ひとこと注意されていたような。
言ってしまえば、「並んで移動」は当たり前でしょ?みたいな、そんな感じ。
子どもにも、理由をたずねてみる
先ほど述べた学校のうちの、後者の方に赴任してからの話です。
この学校では「気づいたら子どもがいない!」みたいなことは起こらない。
確かに休み時間に体育館へ行くとしたら、人通りの多い廊下を通るのでバラバラだと危ないかも…とは思うけど。
いったい、並んで移動する理由って何だろう?
そこでまずは子どもたちに聞いてみました。「並んで移動するのは、なぜなのかな?」
え?という顔をしたまま、皆シーンとしています。そのうち意見が出てきました。
「並んで行かないと危ないから」
「時間で授業が始められないから」
「ほかのクラスの迷惑になるから」
この学校に限らず、「○○っこの決まり」のようなものが小学校には存在します。中学、高校で言う校則の代わりです。
決まりがいくつあるのか覚えられないような、結構な量だったりもします。
ですが「それ何のためにあるの?」と聞かれると、よくわからないものも多いです。
この子たちも、決まりは知ってるけどなんで守るのかは分からない。「だってそういうものだから」と捉えていた子も多かったでしょうね。
子どもたちと相談して決める
「じゃ、並ばなくても今言ったことがクリアできていればいいんだね」と確認したのち、子どもたちと相談して
「体育館へ行く時」と「授業中に移動する時」は並ぼう、その他は並ばなくてもOK、という風にしました。
その後は様子を見て、授業のスタートに支障が出たり、危険なことがあるようならその都度声をかけました。
どうしても皆と同じタイミングで着替えられない、準備が間に合わない子が中にはいました。
私から子どもたちに「先行っていいよ」と言う事もありましたが、子どもたちの方が「先に行くからチャイムには間に合わせてね」と柔軟に対応してくれる時もありました。
その決まりがある理由を、自分なりに解釈している子どもたちだからこそ、考えつつ行動してくれたように思います。
このクラスではしばらくしてから「なぜ持ち物にシャーペンを入れてはいけないの?」という話題も出ました。
なんでだろうね、とまた皆で考えながら、校長先生に聞きに行こうか?まで話が進みました。結局、校長室までは行きませんでしたが…。
何のために?すぐ答えられなくても、一緒に考える大人でいたいな
私自身が理屈っぽいせいもあるかも知れませんが、「なんで?」と言うのはよく考えるし、子どもたちにもよく尋ねている気がします。
時にはこちらの不勉強で、すぐ答えられなかったり分からなかったりする事もあります。
でも「なんでだろう?」って一緒に考える大人でいたいです。
「そういうものなの!」って言っちゃうような、つまらないことはしたくないなと思います。…でも、余裕のない時はそうしてしまっているかも。
学校は社会の縮図です。自分で考える子どもたちに育って欲しいと期待している大人たちも、考えて行動しなきゃですね。素敵な背中を子どもたちに見せていきましょう。私もがんばります。
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