ママである、あなたのために。わが子を可愛がってくれる大人を探しに行こう。

教育

「あーいいのよいいのよ!これは、『こぼれるメロンパン』っていうのが売りの商品だから〜」

店員さんが笑いながらやって来た。床の片付けは気にしないで、と暗に伝えてくれた。

パンくずをこぼしながら食べる。子どもなんてそれがデフォルト。そこに罪悪感を微塵も感じさせない、店員さんのウィットに富んだ言い回し。

その話を聞いて、思わずそのパン屋さんへ走りたくなるほど興奮した。

子どもの仕草、成長を共に喜んだり可愛がってくれる大人。親や親戚だけでなく、いっぱいいっぱい、いるといい。

こどものためじゃない。ママのためだ。

こんなに人様に可愛がられる子を、元気に育てられている自分が、誇らしく思えてくる。

ママが笑顔であるために、我が子を可愛がってくれる大人を、どんどん外に探しに行こう。そんな提案をしたい。

パン屋さんの話は、次男と同い年の子を持つ育友達から聞いた。買った商品を店内で食べていて、隣で彼女の息子(2歳)が、メロンパンをほおばろうとしている。

食べた方とこぼした方、どっちが多い?と一瞬迷うくらいに、パンの上に乗ったクッキー生地が床に落っこちていく。もちろん彼は真剣だ。それでもまだ上手く食べられなくて、そうなってしまう。

ああ、後で床を片付けないとなぁ…とぼんやり眺めていたら、店員さんが来てくれた。で、「これは、『こぼれるメロンパン』っていうのが売りだから〜」と言ってくれたらしいのだ。

その言葉に友達はとても救われたという。同じシチュエーションだったら、私もきっと感謝の気持ちでいっぱいになっただろう。

うちの次男もこうなります…

子どもを連れて外に出るとどうしても、「すみません」「ありがとうございます」と声に出すことが増える。

もちろん大抵の大人は「大丈夫ですよ」「いえいえー」と言ってくれる。それでもなんだか、社交辞令的な返しに感じて、本当はどうだったのかな…と気持ちが塞いだりする。

「こぼれるメロンパン」なんて、そんなユーモアある返しをされたら、思わず笑顔になっちゃう。申し訳なさが吹き飛んでしまう。こんな、ママフレンドリーなお店が、もっとあったらいいな。

SNSでも情報を探せないことはない。けれど、その地域に住んでいるママさんに聞いた方が一番いい。ネットで宣伝してないような、小さなお店も知っているから。行ける範囲で、支援センターやママ向けのイベントに、足を運んでみるのをお勧めする。

友達の話を聞いて、これを記事に書きたいなとメモを取ってる時、もう一つ気づいたことがある。

店員さんと一緒になって笑えたことに、きっと私は喜びを感じただろう。

この子って可愛いね、子育てしてたら、困っちゃう時もあるよね。大変さや楽しさを共有できたことに、私はとても嬉しくなっただろう。

長男が小さい時、地域の子育て支援センターに行っていた。そこには保育士の資格を持つ先生が2人いた。

先生は2人とも、ベテランの貫禄あるおばちゃん。子ども達がケンカしても、泣いても、「こんなこともあるさぁねー」と、うちなーぐちバリバリで、おおらかに笑い飛ばしてくれる。

そんな先生たちの人柄に惹かれたお母ちゃんたちが、支援センターには集まっていた。

皆、人目を気にせず、わが子をのびのび遊ばせていたし、ちょっとおもちゃの取り合いをしてるくらいなら、止めない。どう折り合いをつけるか、それも勉強ねー、と子どもたちを見守るのだ。長男もおかげさまで、のびのび成長させてもらった。

行動だけでなく、長男は女性の好みも、のびのびというか、あからさまだった。

支援センターから帰る時、先生たちが玄関まで来てくれる。子どもが靴を履く手伝いをしてくれたり、お母さんが荷物をまとめる間に子どもたちを見ていてくれたりする。

見送りには、隣の児童館の職員さんも来てくれる。児童館の先生は、大学を卒業したばかり。ショートカットが可愛いらしい、初々しい女性だ。

わが長男はこちらの若い先生を気に入り、彼女にばかり、「バイバイ」と手を振った。

(こら!毎日お世話になってる先生に失礼でしょ!)と、心中穏やかでない私をよそに、長男は支援センターの先生が「またねー」と手を振っても、無表情。ハイタッチもしない。

若くて可愛い人が。ぼくは好きなの。そんなあからさまな長男の様子を見て、先生2人が大声で笑った。

「はっさもう、お母さーん!若い子にばっかりニコニコして、誰に似たのかねー?」

一瞬びっくりして、それからつられて、私も笑う。

「えー、私じゃないですよー、主人ですね!もう、一言言っておかないと!」

以後、長男が若い児童館の先生と、2人の先生への挨拶に差をつけるくだりが、コントのように繰り返された。そのたんびに先生たちと私は「お母さん、おうちでちゃんとしつけておかんとー」「だからね、すみませんねぇー」みたいに笑い合った。

若い娘大好き長男。こんな運動会も、支援センターでやってくれました。

あのユーモアたっぷりなやり取りに、どれほど救われ、癒やされたことだろう。長男のちょっと変わったところさえも、可愛がって面白がってくれた先生達のおかげで、長男はもちろん、私も毎日楽しかった。子育て楽しいなー、と思えていた。

あの時はただ嬉しかったけど、何が嬉しかったのかを言語化したら、おそらく次のようなことだ。

私たちママとパパと親戚と、そのほかにも、我が子を可愛がり、慈しんでくれる大人がいる。

毎日毎日、この子と遊び、ご飯をあげ、お風呂に入れて寝かしつける。私がしてることは、尊いこと。喜ばれること。

これを読んだあなたはどう思うだろうか。子育てに対して尊いとか喜ばれるとか、人がよくしてくれるから頑張れるなんて門違いだ、って違和感を持つのだろうか。

いいじゃない。お母さんがニコニコ元気になって、また子育てがんばろうって思えるなら、子どもにだってプラスしかないんだから。みんなで子どもたち、褒めて可愛がってあげようよ。

孤独な子育て時間のしんどさ。苦しいと言ってはいけないんじゃないかと、勝手に自分で縛りを作っちゃってた。そう話す友人がいた。

私もそうだったし、共感するママは多いと思う。

新しい場所に行く元気が湧かない、緊張するし足が向かない、そんな気持ちもわかる。

子どものために行こうとすると、しんどくなる。自分のために行けばいい。

心地よく過ごせる場所、エネルギーチャージできる場所、ストレスの発散場所を探しに行くと思って、子育て支援センターやママのためのイベントへ、まず足を運んでみてはどうだろうか。

きっとあなたと一緒に、我が子を可愛がってくれる仲間が見つかる。ママの笑顔が、何より子どもは嬉しいものだ。

natomiメールマガジン

登録はこちらから

コメント