「自分の伝え方が合ってる。他はわかりにくいからダメなんだ」
なんて偉そうなことを、私はずっと、思ってた人間でした。
前置きが長い人や、話が飛び飛びになる人を見て「もっとわかりやすい話し方をしたらいいのに」って、ジャッジしてました。
でもね、それが分かりやすいって人もいる。
伝わったよ、と言ってくれる人もいる。
色んな人がいて、いろんなコミュニケーションの取り方があって。
リーダーはそれを知っているといい。
「どんな伝え方をすると、相手に分かってもらえるかな?」って、工夫をしてあげられる。
思いやりのあるリーダーでいたいし、優しい人間でいたいです。
小学校の先生をしていた時の話です。確か算数の授業中でした。
割り算の筆算の仕方を説明していて、何度も私は伝えたけれど「分からないなあ…」と首を傾げている男の子がいました。
こんなに言葉を削って、簡潔に話しているけど、なんで伝わらないんだろう?
正直、そう思いました。
「ごめん、ちょっとお手伝いしてくれる人、いるかな。私の代わりに、◯くんに説明して欲しいんだけれど…」
そんな私のお願いに、はーい!と手を挙げてくれた、ひとりの女の子。
「ありがとう。お願いね。」
うん!と彼女は黒板の前に立ち、男の子に向かって説明を始めました。
ただそれは、私が聞いてる分には、説明と呼べるものじゃありませんでした。
「例えば600÷2。6÷2は3だから、100のくらいに3をたてます。次に2✖️3=6のこたえの6を、下に書きます」
こんな感じのものが、説明でしょう?って、私は思ってたんですね。
彼女は違いました。
「あのね、ここに書くのは3なの。で、こうしてパーッて書いたら、ほら、できたでしょ。あとも全部同じなの。パーッて書けばいいの」
…まるで答えを喋ってるような。そして、「ここ」とか「パーッ」とか、もんやりした言葉ばっかり。
えー、ちゃんと説明してもらわないと…。正直な、私の心の声です。
ですが、男の子の顔は明るくなった。
「すっごく分かりやすい!ありがとう!」男の子はイキイキした顔で、席につきました。
ホントに分かったんだろうか?気が気でない私。
でもその後、計算問題をいくつか解いて、持って来たノートは全問正解。
女の子の伝え方が、彼には届いたんだ。
いらない言葉を削って、必要なところだけを簡潔に伝える。
そんな私のやり方よりも、感覚的に、なんなら擬音語も入れながら、ポンポンリズムよく話した方が、分かりやすかったんだ。
私の思い込みは、ガツンと打ち砕かれました。
後に私は、生まれ持った素質を読み解き、より良いコミュニケーションに活かす帝王学を学びます。
確かに、私のように簡潔に短く、要点だけを言われた方が、分かりやすくて良い、という人もいる。
でも、みんながみんな、私と同じ感覚を持ってるわけではない。
「お話のバックグラウンドから、展開、終わりの方まで、丁寧に語ってくれた方が、物語を読むように頭にスーッと入るんだよね。」
そんな人もいるんですね。
「ピンと来た分は耳を開いて聞いて、あとはそれなりに聞いてる。だから、ポンポンと話がとんでいても、聞くのにストレスを感じたりはしないよ」
そんな人だって、いるんですね。
自分の伝え方が正しくて、あとは違う。
なんて傲慢な考え方だったんだか。
私の長男は、ポンポンと話がとんでいくタイプです。
テンションが上がると「とにかく聞いて!」なモードになり、主語もなければ、前後のつながりがまるでない話が延々続きます。
結論を聞きたい私としては、あちこち話が飛んでしまうと、イラッとする。
「だからどういうこと?」って、ついツッコミたくなってしまう。
でも、長男としてはピョンピョン飛んでいたいんですよね。その方が調子良い。
相手の話も、あちこち飛んでいたって良い。聞きたいように聞くから。
色んなタイプがあるんだな、と知ってから、自分のモノサシでジャッジする頻度は減りました。
また、相手の受け取りやすい方法で伝える工夫ができるようになりました。
家族のリーダー、お母ちゃんやお父ちゃん。
教室のリーダーなら、先生。
職場のリーダーは…管理職と呼ばれる役職の人、になりますかね。
「なぜ、何度言っても分からないんだ!」と突き放してしまう前に、「どう伝えたら、届くんだろう?」って問いを持ちたいですね。
自分と同じかも知れないし、伝わらないなら違うかも知れない。
いろんな工夫のできるリーダーと過ごす仲間は、幸せなんだろうなと思うのです。
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