花びら餅を食べながら、愛しいあのひとを思い出す。

教育

食べたら愛しいあの人を思い出す。

そんな思い出深い食べ物が、あなたにはあるでしょうか。

故郷沖縄にも、ここ数年で美味しい和菓子屋さんが一気に増えました。

けれど茨城に越して来て、やっぱり本場は違う!と感激しきりなんです。(何をもって本場なの?って話なのですが笑)。

私の住む水戸市。和菓子屋さんの数も多いし、置いてある和菓子も、テレビで見るような見た目の鮮やかな菓子が多い。

「もしかしたらお正月前後には、あの花びら餅が食べられるかも?」と1人ワクワクしていました。

そしたら正月を迎えた後、近所の和菓子屋さんで「花びら餅」が売っているのを発見。先日購入することができました。

初めまして、花びら餅。

あまり漫画を買わない私が、全巻持っている「大奥」という女性向けのお話。

2023年はNHKでドラマ化されていましたね。

江戸の街に流行る、男性だけがかかる謎の奇病。

そのせいで男性が次々と死んでいき、日本の人口の半数以上が女性となってしまいます。

徳川家の3代目将軍家光も、奇病により死去。国を再び戦国の世に戻さないために、春日局は性別をいつわり、家光の血をひいた女の子を(家光)とし、将軍職に就かせます。

以後その異常な状態が100年ほど続き、その間、将軍としての運命に翻弄され続ける女性達や、周囲の人々。

人物それぞれの生き様や葛藤が丁寧に描かれていて、とても好きなんです。

運命を受け入れ、必死に生きる意味を探す将軍達(みな女性)の姿は、現代にも通じるものがあり。「そなたはどう生きる?」と問いかけられるような気持ちに。読むたびに背中がピリッと引き締まるような漫画なんです。

徳川幕府が終わりを迎える頃に、京都から婿にやって来た和宮(実は男装した女性)。和宮は徳川家茂(こちらも女性)の夫となり、不思議な縁で結ばれた2人は次第に心を通わせていきます。

しかし心労がたたり、家茂は20歳の若さで死去。

悲しむ和宮を慰めようと、京から職人を呼び寄せ、京都で正月に食するという「花びら餅」という和菓子を作らせ、こう言って差し出します。

「皆で食べましょう。上様も必ずやどこかで、宮様を見守ってくださっているに違いないのですから。」

「白味噌も甘く炊いたごぼうも、江戸では食した事の無い味で美味でございますな」黒木の食レポ(江戸時代に食レポとか言わないね)がまた、上手なんです!

…すみません、1人でテンションが上がってしまって。

私なんて必要ない。生まれつき左手のない、忌まわしい子として、外に出さずに育てられた和宮。

孤独な彼女に面と向かって「あなたは必要です」と言ってくれた家茂。

前向きに生きるきっかけをくれた家茂が、一緒に食べたいねと語っていた、花びら餅。

「な、美味でおざりますやろ?」と、皆で花びら餅を食べながら、和宮は亡き家茂に語りかけます。

これを食べるとあの人を思い出す。誰かのそんな存在になれたら、こんな幸せなことってないな。

反対もしかり。「あの人と一緒に食べたっけ」と思い浮かぶ人が、たくさんいる人生ってあたたかい。

思い出の食事を振り返ってみたら、自分の人生がより豊かに、見えて来るのかも知れませんね。

私も書きながら一つ思い出しました。また今度、どこかで紹介させていただきます。

それにしても、花びら餅。

黒木が言うように、白餡も甘く炊いたごぼうも、美味しゅうございました。。

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