「1ヶ月伴走型」の個人セッションをやってます。
自宅でお教室を開いている先生方のご依頼で、
教室に通う子どもたちとの関わり方、レッスンの進め方などを
一緒に考えている最中なのですが
「かっこいい、派手な課題には取り組むけど、基礎的・地味なものには手をつけない」
そんな男の子に手を焼いている、っていう相談を聞いた時に
パッと思い出したエピソード。
「させられた」感を出すことなく、
どうやって自ら進んで、課題に向かってもらうか。
これが上手な先生は、「学ぶ楽しさを子どもたちに授けられる人」
私はそう思ってます。
私、大学の時にエイサーサークルに入ってたんです。
地謡(三線を弾いてみんなを踊らせる人)をやりたくて
すでに地謡を務めていた先輩のところへ
毎週習いに行っていました。
私の他にも、三線弾けるようになりたかったり、もっとエイサーを知りたい!って県外の学生さんだったり
そういう人達が集まって練習してたんだけど
面白かったのが
男性は大抵、「唐船どーい」という
最後に演奏する、テンポの速くて、派手でかっこいい曲ばかり
弾きたがる
ナゾの傾向があったことでしたw
タンカ、タンカ、タンカ…って感じの
西洋音楽でいう「シンコペーション」みたいな複雑なリズムが
ずっと続くのですが
ここが難しいし、
バチ(ギターで言うところのピック)をリズムよく捌くには
基礎練をちゃんとやってないといけない。
なので初っ端から練習するような曲じゃないんだけどね。
不思議と男性陣は、基礎練もせずにそればっかり弾いてました。
当時、メインで三線を教えてくれていた
医学部6年次の、男の先輩。
先輩がとっても、のせ上手な方でした。
基礎練はしないし、三線の持ち方もめちゃくちゃだし(なぜかギター風に立て気味に持ってた)、
なのに唐船どーいばっかり弾いてる。
そんな、問題児な男の子がいました。ちなみに私の同学年。
彼のそばに、しれっと先輩が座りました。
「いいねいいねー、続けてやってみてごらん!」
って、そのまま弾き続けるよう、促したんです。
唐船どーいは速弾きなので、上手くない人がずっと弾いてると、だんだん手が疲れてきたり、痛くなってきたりします。
男の子も同様で、
「もうだめだ、弾けないっす」
って、最後は三線を弾くのをやめ、へたり込んでしまった。
「こんな長いこと弾けるなんて、すごいじゃん」
先輩が彼に、声をかけます。
おもむろに先輩が、彼の三線を持って、唐船どーいを弾き出して
「ここ。この部分って、唐船どーいのカッコいいポイントじゃん?」
と弾いてみせます。
そうっすよね、と男の子。
「ここだけ取り出して、繰り返し何回も弾いてごらんよ。
そしたらもっといい感じになるよ。
で、このリズムにもたつかないために、いつもの基本曲もやる。
こっちも大事なのよ」
彼が心底、納得して頷いてるのが、遠巻きに見ててもわかりました。
ついでに言うと、力んで演奏してるのを変えるために
先輩はわざと、疲れさせるまで「もっともっと」と弾かせてました。
疲れると、力が入れられないからね。
いい感じで、緩んだ演奏ができるんです。
男の子の側に「させられた感」を全く感じさせることなく
練習に向かわせた、先輩。
感激でした。
あなたの周りに「学ぶ楽しさを上手に届けている人」はいますか?
その人のこと、じっくり観察してみると
面白いですよん。
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